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【神様とお箸】

 日本人が祭りの中で、神に接する場合の大きな特徴は、その神々を擬人化して
接待し供応することです。
 それは、神を迎え、神と人とが合一し、神を送るという一連の祭りの課程の中
でも、もっとも大切なことは、神々に御饌を供え、神と人が同じものを共同飲食
することです。「直会」は、同じ釜で煮炊きしたものを、神も人もともに味わい
たなしむことであり、神にお供えしたものをおろしていただく”おさがり”では
ありません。
 御饌を供えするに先立って供えられる御箸は、擬人化した神がこれを使うとい
う意味において、神と人との合一の手段として大きな意味を持つことから、御箸
を祭器として崇拝しているのです。また、その御箸を使って、神と人とが共同飲
食する「直会」は、神と同じ御箸を使い同じものを食べる事によって、神の魂を
我が身に呼び込むことを願ったものです。
 神々の食事にも、私たちと同じように毎日の平常食(ケの食事)と、祭りの特
別食(ハレの食事)とがあります。
平常食は、常典御饌(じょうてんみけ)と呼ばれ、食事は毎日朝夕の二回供え、
朝の食事の儀式を朝御饌祭、夕のそれを夕御饌祭と呼んでいます。この祭事に
供えられる御箸(みはし)には、清浄で霊木とされている、檜・杉・柳・松など
が用いられています。
 歴史の古い伊勢神宮・春日大社・金比羅宮では、毎日の御饌の際、まっさきに
御箸が供えられます。
  伊勢神宮・・・・・・・・・檜製の八角箸の御箸(長さ約36cm)
  熱田神宮・・・柳の木の皮を剥いだ手作りの御箸(長さ約36cm)
         (萱津神社から奉献されています)
  春日大社・・・・・・・・檜の先細の丸箸の御箸(長さ約36cm)
         (明治維新までは松で作られていました)
などが使われています。