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【 今も残る「箸折の伝説」 】
  

 峠は、村の境の所にあり、そこには境の神である「塞の神」が祀られています。
この峠を、旅人は境を越えることから、精神的に不安があり、それだけに旅路
の安全を祈る場所なのです。ですから食事の後不要になった箸を神に供え、
安全を祈願したのです。ところが、一度使った箸にはその人の魂が宿るとされ,
使用後そのまま捨てると禍がくるとされ、そこで峠の神にその箸を納め、禍を防
いでもらおうとしたようです。さらに昔は、山に行ったときには山の木の枝を箸
にすることが多かったことから、この一度使った箸には人の魂が宿ると云われ、
家に持ち帰らずに山に捨てるようにしたのです。しかも、そのまま捨てると、け
ものが玩んだりしてその禍が、自分にも降りかかることを防ぐために、その箸は
必ず折って捨てるようにしたのです。この折る行為は、箸に宿る魂を自分の元へ
帰らせる為なのです。この「箸折峠」の伝説は、和歌山県や福岡県にも残っています。
いまでは、弁当を食べた後に箸を折ったりするのは、躾や行儀がなっていないよ
うに思われていますが、箸を折って始末する風習が残っているのは、このことからです。